小さい命のはなし

朝、グレイの街の道路の真ん中で 雀の雛をひろう。

このままだったら車にひかれてしまう。

手のひらに乗せてとにかく事務所に。

手のひらの中でも チュンチュン鳴きっぱなし

ダンボールの中に入れるもチュンチュン。

ふたを閉じて暗くすると静かになる。

静かになるとまた心配で・・・。

ネットで雀の雛をひろったら。を調べると

それは誘拐です虐待ですとあり 親が探しているとありました。

私は、この雛のお母さんにはなれません。

そんなことは分かっています。

人生で初めて 雀の雛を見ました。触りました。

こんなにも小さくか弱く、そしてあたたかく。

よくみなたくましく育っているなと思いました。

羽が折れているように思うし まだ生えかけかのかもしれません。

頭に産毛が残ってるような子です。まだまだ飛べるようなかんじではありません。

救急処置ができたらと思ったのですが何も事務所にはありませんし分かりません。

雛も怖がって顔を隠してしまいます。

とりあえずお水をあげて(くちばしの上に乗せるといいと)元の場所に向かう。

鳴き声に何羽か雀が寄ってきました。親がいたかもしれません。

本当の親とて何も出来ることはないでしょう。

巣から落ちてしまったこの雀の雛は元の巣に戻ることもできませんし

哺乳類のように親が背に乗せたりくわえることもできません。

近くにはカラスが2羽。狙ってるように思います。

丁度いいような草むらがなく、小学校の草むらにと思ったのですが、

勝手に小学校に入れないので守衛さんを呼ぶと 彼は

『前に雀の雛、育てたことある。でもいちど親とはぐれたら無理かも知れんなー。』と。

最近も小学生がはぐれてしまった雀の雛を見つけてきたとこだそうです。

無責任でしたが彼に託しました。

ちょっと強面の守衛さんでした。

自然界の厳しさに手を差し出すのは 人間の勝手なのかもしれませんが

助かるかもしれない命をそのままにはできませんでした。

助からないかもしれないけど、車にひかれるよりは。と思いました。

おじさんの手の中で雛はこれからどうなるのか分かりませんが

せっかく生まれてきたのだから野生の生命力を信じたいと思います。

雀の多いグレイの街

本当に多いのです。そしてちょっとやそっとじゃみな逃げません。

お米屋さんがたくさんあって軒下では袋の中に入り込んでいます。

家の塀の上に雀用にえさをおいている家もあります。

そういう環境だから雀にとって住みやすいのかもしれません。

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