綾ちゃん

綾ちゃんは 中学の部活が一緒だった友達で 

小学校も一緒だったし そこそこそのときも仲がよかった。

色白でそばかすのある綾ちゃんは とっても明るくて左右みつ編みなんかしたら

長靴下のピッピみたい。と何度も思ったけど

当時としては珍しくそんなことを本人に言わなかったな。(今ならずけずけと言うけど)

多分 そばかすがあるのが学年で綾ちゃんだけだったからかもしれない。

綾ちゃんの自慢は若いお母さんで 19歳だか20歳だかで私を生んだこと。

お父さんが何度も何度も家に行って結婚してください。って言って2人は結婚したこと。

明るくてスタイルもよくって もちろん若くって 綾ちゃんみたいにそばかすがあるわけじゃなく 

素敵なママだった。

団地の4Fに住んでいて 遊びに行くと オレンジジュースが出て、

小さい弟がまとわりついた。

小学校は たとえば さつき台(仮称)1丁目から5丁目の子供だけしか行かない

さつき台小学校(仮称) 坂ばかりのさつき台の中心はてっぺんにある公園で

ちいさな地域だった。

同じ学年の誰のママよりも若かった。

そして多分私の母が一番若くなかった。

若いママから生まれた綾ちゃんのそばかすは 

例えるなら なんか流行の最先端みたいな感じに思っていた事もあった。

若すぎる親って(子供がだらしなくなるのよね)って小学生のくせに私は思っていたけど

綾ちゃんはとても弟想いで 同じく若いお父さんと家族4人でとても仲がよかった。

綾ちゃん家は安心!なんて ほんと偉そうに私は思ってた。

ある日 綾ちゃんのお父さんが単身赴任になってお母さんは泣いて泣いて嫌だって

言ったんだけどそうなってしまったってそんなこと聞いた。

中学を卒業して 高校が別々になって疎遠になってしまったけど

風の噂で 綾ちゃんの苗字が変わったことを知った。

もうあの団地の4Fにもいないって知った。

もう何十年も会ってないのに 今日急に 綾ちゃんのことを思い出した。

なんでか分からないけど。

そばかすでにかっと笑う 綾ちゃんの笑顔を思い出した。

どうしてるんかな。