似ている

彼のことが嫌いになって、どうしようもなく嫌いになっていたところへ

山の上にステキな人が現われた。

朝から晩までステキな人のことを考えて、

どうやったらステキな人のものになれるかを考えて、

でもコレって妄想で

そんな中でもお風呂場で彼に言い訳を考えて・・・

そんな日が続いたわ。

そしたらなんとステキな人から連絡があって

1度会ってくださいって言われて

当日ドキドキして厚化粧で向かったわ。

少しでも皺を隠したくって。

でも なんだか日頃の私が出せなくって

厚化粧のせいでもないんだけど

だめだわ、私って落ち込んでいて

こんな私には彼のところが一番なのかも。なんて思いなおしたりして。

そうしたら翌日にステキな人からもう1度会ってくださいと言われて

キャーって喜んだわ。

もう諦めていたし。

もう一気にステキな人のものになった気でいて

今度こそお風呂場で最終的な彼への言い訳を考えて

荷物をこっそり整理して

さようならと一筆書いて

それをお守り代わりにバックに入れて

2回目、ステキな人に会ったわ。

今後の具体的な生活設計の話までされて、

あれよ、あれよ、まてよ、まてよ、と嬉しいくせに葛藤したわ。

昼食メニューの話も出たわ。

私がランチ命って知ってたのね、きっと。

あれ、私が聞いたんだったっけ。

そうそう、こないだ現われた京都のステキな人ともランチの話で盛り上がったわ。

ついつい帰り道 ワクワクしながらブログタイトルまで考えたもの

『ランチブログ 京都市役所美波上ル 』

その人は2回目会ったとき まったく様子がおかしかったわ。

私に全く質問しないんだもの。

質問って興味がないとないものなのね。

改めてわかったわ。いたいほど。

人生においてもそうね。

興味がなければ疑問も期待も希望も絶望も誘惑も発展もないもの。

沈黙の時間が流れるだけだったわ。

そんなことなのだったら

厚化粧の皺とシミだけの私に会いたいなんて言わないでもらいたいわ。

京都まで往復いくらかかったと思っているの、しかも2回も。

せっかくだからって飲んだイノダコーヒーは 苦くて悔しかったわ。

とにかく山の上のステキな人から

私のために 部屋のレイアウトまで変えるなんて言われたわ。

そんなこと言われたらさ、私

トイレ掃除は私がします。って思わず言ってしまったもの。

1時間半ぐらい話したもの。

京都の人は5分だったものね。

じっくり話さないと 分からないからね、って言われて有頂天になったわ。

きっと私のことをわかってくれたんだわって。

新居の隣が墓地だなんてもうどうでもいい事だって思えたわ。

また連絡するってその日は別れて 

バスに乗る私を見送ってくれて

それっきりなのよ。

その週末、ピーターラビットの切手で手紙が届いたわ。

忘れもしないわ。

最初にステキな人と会った日が発売日で私も買ったもの。

手紙の中には、何が書いてあるか開けないでも分かっているわ。

チラッと見かけた若いあの子なのね。

山の上のステキな人のものになったのは。

あの子は トイレ掃除する覚悟はできてたの?

そうは思わなかったけど。

若いあの子の引き立て役で2回目会っただけなのなら

いっそ1回目のときにもう無視してくれたらよかったのに。

そしたら私も諦めがつくのに。

そしたら今の彼に変な言い訳(突然体調が悪くなった)なんて言わなくて済んだし

まわりからは、『美波さん頭がおかしくなってる』なんて言われなかったわ。

もう私の残りのすべてを 山の上のステキな人とすごそうと思った覚悟だったし

それを切り替えるにはちょっと時間がかかる。

未だにため息が出る。出る。出る。

毎朝新居(のはずだった)行きのバスを電車の中からどうやっても(見たくなくても)

見えてしまう私の気持ちも考えて欲しいわー。

その気がないのなら 2回目会おうなんて言わないでもらいたい。

私には時間がないのだから。

有給だってまだ少ないのだから。

言い訳だってないんだから。

つくづく 就職と恋愛は 似ている。